銀座の取り組み

日本経済新聞掲載されました!企業「次の一手」   社長 薄田誠

2017.10.23

カテゴリ:メディア掲載

企業「次の一手」

 作業用品の専門店「銀座」を展開する銀座(新潟市、薄田誠社長)が出店攻勢を強めている。2014年の福島県を皮切りに15年10月には山形県に新規出店するなど県外店舗も拡大し、現在は県内外で計10店舗を運営している。今後も東日本大震災の復興作業員向け作業服の需要が高まる福島県など県内外で新店の出店を拡大する。建設業などプロ向けだけでなく一般向けの品ぞろえも拡充し、幅広い顧客層を取り込む。

 銀座は50年ほど前に靴の販売店として創業後、軍手など関連用品を求める顧客が増えてきたことから、作業用品の販売店にくら替えした。ただ、2000年代前後の金融危機などで景気が悪化し、一時期は売り上げが年2割ほど減少。薄田社長は03年に同社としては初となる経営計画書を策定し、事業改革に着手した。

 まず取り組んだのが商品の選択と集中だ。当時は多様な商品群をそろえて在庫がたまりやすい課題を抱えていた。そこで、とび職人の人気が高い服や作業用品などに絞った商品構成に変更。地元のとび職人が来店するようになり、売り上げが急回復した。認知度の向上に加え、財務基盤も安定したため、最近では新規出店に力を入れ始めている。

 出店の際に重視するのが地元新潟の気候に近い雪国を狙った「盆地戦略」だ。同社の得意分野は冬物の作業服で、地元店舗で人気のラインアップを投入するなどして顧客獲得を目指す。

 14年10月に福島県会津若松市に県外1号店を出店したところ、原発作業員を中心に売り上げが好調に推移。薄田社長は「福島県の盆地などは20万人ほどの商圏があるにもかかわらず意外とチェーン店は少なく商機がある」と解説する。15年5月に同県会津坂下町に2号店を開き、さらに今後は復興需要が見込める郡山市での出店も検討している。

 同時に店舗改革も推し進めている。一部の店舗で試験的に営業時間を従来の10時間から9時間に短縮したところ、勤務時間の短縮に伴って時給アップにつなげることにも成功。労働環境の改善で離職率も低下し、新規採用に伴うコストも減らせたため、9時間営業を4月から全店で実施する。

 今後は顧客層の拡大も狙う。節約志向の高まりで家庭菜園を始める消費者が増え、作業服などの需要も増えている。手始めに、一般消費者向けのカジュアルな色や機能を絞った靴下や防寒着を増やし、プライベートブランド(PB)比率を現状の1割から早期に3割に高める方針だ。

 社名の由来は「先代社長が将来は東京の銀座に出店する意気込みを込めた」(薄田社長)。16年2月期には売上高が10億円を初めて突破し業績は堅調だ。今後は県内を足場に、福島や山形だけでなく、長野など新潟近隣地域での出店拡大を目指す。20年以内に東京・銀座の新規出店も含め、70店体制にする目標を掲げている。

2016.3.29掲載

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